同窓会のあゆみ
前身団体と創立
京都大学経済学部同窓会が創設されたのは、1960(昭和35)年5月のことであった。この日、創立総会として京大時計台下の大講堂に350余名の卒業生が参集し、同窓会規約の制定、役員の選出などが行われた。経済学部が創設された1919(大正8)年から40年を経過してようやく同窓会が組織されたことになるが、そこへ至った経緯をたどってみると、当初は卒業生を含む団体として経済学会と経済学部同好会(ともに1919年発足)の二つがあった。1945(昭和20)年の敗戦後の同窓会的な活動としては、同期会、ゼミナール別の会合が小規模ながら行われていた。
1959(昭和34)年は経済学部の創立40周年に当たり、卒業生懇親会において、卒業生代表としてあいさつした太田垣士郎氏(1920年卒業、関西電力会長)が緊急動議として「経済学部の卒業生を一丸といたしました同窓会をいうものを作っていただいてはどうか」と提唱し、卒業生一同はこれに「満場拍手で以て応えた」(創立総会報告より)。こうして、経済学部同窓会は、「同好クラブ」の名称で正式に発足することとなった。
活動中断と再建
1966(昭和41)年6月に第7回の総会が恒例通り京大時計台下の大ホールで開催された。69年は学部50周年、同窓会10年の記念すべき年であったが、大学紛争によって記念式典も同窓会総会も「延期」される結果となった。以後、同窓会総会は京都タワーホテルなど京都市内の会場を借りて行われた。同窓会事務局はそれまで学部事務室が担当していたが、これも大学から離れ、金原出版京都支店(金原四郎氏、1926年卒業、副会長、東京支部長)へと移った。会報『同好』は69年の第10号、『同好通信』も76年の第6号が最後となってしまった。
同窓会の再建話は、学園も落ち着きを取り戻した1989(平成元)年の学部創立70周年を契機に、記念事業推進の中から持ち上がってきた。5月の記念祝賀会の席上、栗林四郎氏(1935年卒業、京都銀行)によってなされた同窓会発足の提案が「万雷の拍手」で承認され、さらに、10月7日の東京祝賀会において金澤脩三氏(1933年卒業、三菱レイヨン)の再発足宣言でスタートすることとなったのである。
90年6月には全国総会が京大会館で開かれた。従来の反省から、理事会に理事長を置き経済学部長がその任に当たること、また本部事務局を京都大学経済学会内(2011年度の同窓会総会で「経済学部内」に変更)に置くことなどが定められた。さらに同窓会本部と各支部との結びつきを強める必要性から、各支部長は本部の副会長に就任することが規約に盛り込まれた。
(『京都大学経済学部百年史』2019年より抜粋、一部改変。)