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京都大学経済学部同窓会

Kyoto University Faculty of Economics Alumni Association

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東京支部
Tokyo

2023年度 新春経済交流会

 令和6年1月20日(土)、昨年までオンラインで行っていた東京支部新春経済交流会を4年ぶりにリアル開催しました。

 会場となった新宿区のベルサール新宿グランドには、本イベントの『世代を超えて創る、新しいビジネスの未来』というテーマに相応しく、1960年代の大先輩から2020年代の若手まで、約100名の幅広い世代の卒業生にお集まりいただきました。

 全体の司会進行役である荒木常務理事(1981年卒)、松本常任理事(2015年卒)の開会宣言の後、まず第1部では、現在企業や官庁で活躍されている柄澤氏、岡﨑氏、宇野氏、辻中氏という多様な経歴を有する幅広い世代の卒業生4名にパネリストとして登壇いただき、モデレーターである中森氏の歯切れ良い、的確な司会進行のもと、世代間交流をテーマとした意見交換を行っていただきました。

登壇者の紹介

モデレーター

中森 真紀子(なかもりまきこ)
1987年卒
中森公認会計士事務所代表
伊藤忠商事株式会社社外取締役

パネリスト

柄澤 康喜(からさわやすよし)
1975年卒
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 取締役会長

岡﨑 健(おかざきたけし)
1988年卒
株式会社ファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員兼CFO

宇野雄哉(うのゆうや)
2010年卒
経済産業省 経済産業政策局 調査課 課長補佐

辻中 仁士(つじなかまさし)
2013年卒
株式会社ナウキャスト 代表取締役CEO

 このパネルディスカッションは、まず各パネリストの自己紹介および自身の経歴の中での世代間協力の経験を共有することから始まり、【ベテラン世代が若手世代から学べること】、【異なる世代の協業を推進する上での難しさ】、【いま世代間交流が必要となるテーマ】などにつき、世代の垣根を超えた熱い議論が展開されました。

 若手側からは「ベテランならではの経験に裏打ちされた話を伺う機会が極めて重要」、「ベンチャーの領域で新ビジネスを始める際、若手エンジニアの企業単独ではなく、既存制度等の歴史的経緯や組織論理を知るベテランの方々の知見が不可欠」などの意見が出され、一方、ベテラン世代からは、「若い世代が持つ想像性(イマジネーション)や創造性(クリエイティビティ)、新鮮な視点が新しいアイデアやイノベーションを生む源泉」という指摘や「若い世代の経験不足を利点とした新鮮な視点やゼロベースでの学習態度が、根源的な問いや議論を生み出す」、「若い世代の想像力・創造力をサポートしていくことが上の世代の役目である」など、次世代を担う若手への期待の大きさを象徴するコメントが数多く示されました。

 また、これらの価値ある交流を阻害する要素として「特に年功序列を見直すことが必要であり、これにより世代間のコミュニケーションが活性化し、フラットな組織づくりに繋がる」といった主張や「ベテラン世代は経験の浅い若い世代の意見を受け入れる、オープンマインドを示すことが必要」、同時に「若手にも自己主張を恐れない強い姿勢が求められる」といった意見が飛び交うなど、聴講した参加者にとって、とても学びの多い、熱のこもった討論が行われました。

 最後に、世代間協力のために取り組むべき具体的な課題として《異なる分野の技術や知識を融合して新たな価値を創出するクロステック》、《適材適所の人材配置》、《人材の流動性の高い社会、環境・経済・社会がバランスよくミックスされたサスティナビリティの必要性》が挙げられ、「これらの課題解決には世代間協力が不可欠である」との認識でパネリストの意見が一致しました。

 このあと行われた質疑応答では、「社会が目指すべき共通の幸福とは何か」や「上の世代の人たちに耳を傾けてもらうには、若手はどう工夫すれば良いか」といった率直な質問に対して、4人のパネリストがそれぞれに回答するという丁寧な展開がなされたこともあって、パネルディスカッションは予定時間を20分以上も超過するほど白熱した状態のまま幕を閉じました。

 パネルディスカッション終了後は、京都から駆けつけてくださった依田経済学部長が登壇され、入試改革やカリキュラム改革など、経済学部長ご就任後3年間の取組みについて、その背景を含めてお話しいただきました。ご説明の中で、第二外国語に代わるデータサイエンス教育の必修化やモチベーション教育、社会課題に関するディベート、ライティング教育、少人数教育の必要性などについて、また、生成AIのメリデメを踏まえた人工知能教育がこれからの重要課題であることなど、経済学部における人材育成の在り方についてのストレートな思いを、ユーモアを交えながら熱く語ってくださいました。

 依田学部長は最後に、もう1つの肩書である、京大交響楽団音楽部長としてのコロナ禍でのご苦労、また230名の学生との対話・信頼関係の醸成を引き合いにされながら、京都大学の明るい未来について熱弁をふるっていただきました。

 続いて京都大学《ここのえ会》会長である浅山常任理事(1987卒)より、京大OG会員の女性支援ネットワークである《ここのえ会》についてご案内いただきました。発足後2年強で70名弱まで会員数を増やしているこの《ここのえ会》は、大学が運営している団体であり、女子高生や女子研究者を応援するプロジェクトへの寄付など幅広い活動を行っているものの、知名度が不足していることもあるため、どうぞお知り合いの方に広くご紹介くださいという趣旨のお話をいただきました。

 そのあと荒木常務理事より、今回新たに東京支部のLINE公式アカウントを開設し、同窓会情報を発信していることのご紹介、および昨年2月にリニューアルしたFacebookへの投稿を活発化したことにより、フォロワー数が183名(現在は194名)に増えたという嬉しいニュースを披露いただきました。

 またこの新春経済交流会の企画・準備・運営が約30名の有志メンバーの協力によって成り立っていることの報告とともに、東京支部の活動をより魅力的なものにするための各種活動へのご理解とご協力をあらためて依頼いただきました。

 そして最後に、5月11日(土)に開催することとなった令和6年度東京支部総会をより一層盛り上げるためにも、多くのみなさまに参加いただきたい旨、強くお願いされることをもって第1部を締め括っていただきました。

 第1部が終了し、会場のレイアウト変換を行った後、依田経済学部長の乾杯のご発声により第2部の懇親会がスタートしました。

 今回の懇親会は支部総会の時のようなテーマ別テーブル配置はしませんでしたが、乾杯の後、あっという間に全てのテーブルが賑わい始めました。

 今回は参加者の半数近くを2000年以降の卒業生が占めたわけですが、どのテーブルを見ても年配の方と若手の方が歓談されている光景がうかがえるなど、まさに世代間交流が実践されている様子でしたので、多くの参加者の方々にとって、有意義な時間になったのではないかと思います。

 懇親会は前東京支部長である相亰同窓会会長のご挨拶により中締めを迎え、名残惜しさも漂う中、無事にお開きとなりましたが、そのお開きの直前まで、あちこちで名刺交換や、知り合いを別の誰かに紹介している場面が見られるなど、期待以上に活気に満ちた懇親会になったように感じています。

 閉会後の帰り際には、年配会員の方々をはじめ、多くの参加者のみなさまから感謝の言葉や賛辞を頂戴しました。本当に有り難く、事務局としてもとりあえず安堵したところですが、今後もみなさまのご協力をいただきながら、同窓会支部活動をもっと活発化し、より実りあるものにしていきたいと考えておりますので、引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
(東京支部常任理事 西川 浩)