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京都大学経済学部同窓会

Kyoto University Faculty of Economics Alumni Association

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東京支部
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第60回経済懇話会の報告

第60回経済懇話会は、Zoomを用いたオンライン形式で、2022年11月5日 (土)午後1時から、荒木隆司常務理事の司会により開催された。最初に相亰支部長の挨拶及び講師紹介があり、その後に京都大学大学院経済学研究科牧野成史教授から「国際経営2.0」と題した講演をお聞きした。講演の後、質疑応答があり、午後3時に終了した。参加者は30名であった。

講演要旨:「国際経営2.0」

従来の国際経営は、技術の集積する国で研究開発を行い、労賃の低い国で生産し、需要の大きい市場で販売する、といった一連の生産活動を国際的に最適配置し統合することにその意義を持っていた。
しかし今日、国際経営は大きな転換点に直面している。
デジタル化の進展、レアイベント (コロナや東日本震災)の脅威、地政学的課題 (ウクライナ情勢、米中貿易摩擦、自国第一主義政策の政権の台頭)の深刻化、環境問題対策への圧力は、国際経営の前提を根本的に替えつつある。
デジタル化の進展やSDGsに準拠した経営は国境を超えた活動の統合、いわゆる「統合の国際経営」を促進する一方、レアイベントや地政学的課題は「分断の国際経営」を推し進めている。
世界の分断化、権威主義国家の台頭が進む中、企業には分断をつなぐ技術の必要性が高まっており、リモートワーク、デジタル技術の活用が重要。リモートワークを前提にした組織体制の構築や新しい技術への対応が今後の国際経営に必要となる。
組織には政府や市場にできない力があり、それは、暗黙知をマネージする力であり、新たなイノベーションを起こす力であり、制度、ガバナンス、サステナビリティ、人事、環境、倫理の基準を世界に広める原動力としての役割である。
分断の世界における企業の役割を再認識する必要がある。