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京都大学経済学部同窓会

Kyoto University Faculty of Economics Alumni Association

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ご挨拶
Greeting

理事長挨拶 [若井克俊 (京都大学経済学研究科長・経済学部長)]

若井克俊 (京都大学経済学研究科長・経済学部長)

 2024年4月1日より経済学部長・研究科長を仰せつかりました若井克俊と申します。同時に経済学部同窓会理事長にも就任いたしました。同窓会会員の皆様には、今後とも、ご指導ご助言をお願い申し上げます。

 私は、当時始めたばかりの公募人事において採用され、2008年10月より「ミクロ経済学」および関連理論分野の教育・研究を担当する教員として着任いたしました。私自身、京都大学とは無縁でしたが、皆様方の後輩を指導する人物として教壇に立てる機会をいただき今日に至ること、改めてその重責を感じている次第です。他方で、依田前学部長や歴代の江上、文、岩本学部長、その他教員の皆さんとともに、教員公募人事や学部・大学院カリキュラム改革等に携わり、少なからず経済学部・研究科の改革に貢献することができたと考えております。

 これまでの学部・研究科改革については歴代学部長のご挨拶にて詳細をご説明いただいております。したがいまして、今回は現在進行中の3つの改革についてご報告させていただきます。まず、第一に、2022年度入学生より実施している「データ科学分野選択制度」という全学共通教育改革があります。この制度は2回生時に「初修外国語(第二外国語)」か「データ科学分野科目」のいずれかを必修科目として選択するというものです。過去七十年あまりの研究成果を受け、経済学は、市場の競争的もしくは戦略的構造の理論的分析を踏まえつつ、大型データの背後にある経済的因果関係等を分析する学問へと変貌を遂げています。コンピューター性能と推計技術の向上のもと、日常のビジネスシーンのみならず経済学研究の第一線においてもデータ分析の重要度が飛躍的に高まっています。現状を踏まえると、データサイエンス関連知識の習得を希望する学生に対し、その選択肢を提供する必要があると判断しております。

 第二に、「学士・修士5年プログラム(修士課程短期修了制度)」の推進です。こちらは、一定の条件を満たした学部生に対して4回生から大学院科目の受講を認め、修士課程を1年で修了することをめざす制度です。2018年度の大学院入試から開始し、多い年には10名を超える学部生が本制度を利用して修士課程へと進学しています。他方、アメリカ等に比べ日本では社会科学系の修士号や博士号取得者が大幅に少なく、競争力低下を招いているとの指摘もあり、文部科学省も対策を求めています。我々としてもより多くの学部生に本制度を利用いただきたいと考えておりますが、そのためには、大学院進学者にとって最大の関心事である就職状況の改善が必要になります。経済学研究科では、従来型の「研究者養成プログラム(博士後期課程への進学を予定)」に加え、計量的分析能力と創造的問題解決能力の習得と主体とする「高度人材養成プログラム(修士で修了)」も設定しており、特に後者は企業や官公庁等への就職を想定しております。同窓会会員の皆様におかれましても、修士課程や博士課程を修了した学生の受け入れを積極的にご検討、ご支援いただければ幸いです。

 第三に、新形式へ変更した経済学部「特色入試」の認知度向上です。2023年度入試より、これまでの論文試験を用いた「総合選抜型」の入試から、書類選考を主体とした「学校推薦型(文系型と理系型の2タイプ)」へと変更しました。各高等学校長は、課外活動等を通じて成果のあった生徒のうち学業等優秀者を文系型・理系型それぞれに2名まで推薦できます。推薦された生徒の中から、大学入学共通テストで一定水準の成績を修めた上、優秀者と認められる生徒に対し入学を許可しております。特に、大学院への進学希望者の出願を促しており、今後の動向を注視している次第です。また、2025年度入試より、男女共学の高校からは文系型・理系型それぞれで推薦できる男子の上限を1名とするように変更し、女子学生の獲得にも積極的に乗り出しております。「学校推薦型」の特色入試は京都大学各学部で採用が増えており、従来の筆記試験を用いた入試では測ることが難しかったリーダーシップや研究能力を積極的に評価する方向に進んでおります。関連する動画を経済学部Webページにも掲載しておりますので、お時間のある時にご覧いただき、同窓会会員皆様のお知り合いやご子息・ご息女への情報共有にご活用いただければ、認知度向上につながるものと期待しております。

 最後に、大学を含め、多くの組織で運営状況に対し、昨今の物価上昇や円安の影響が出ております。本同窓会も例外ではありません。理事長として、運営状況等に関して注視していく所存ですので、同窓会会員の皆様におかれましても、今後とも変わらぬご支援の程、よろしくお願いいたします。

若井克俊
2024年7月12日 更新